ruru on the roof

大好きな絵と絵本と、日々のこと・・

雨の香り

お仕事とご用事で、数日東京にいました。台風と一緒の移動になるかしらとドキドキしていたけれど、電車が止まるとか、上から下までびちょびちょになるとか、悲しい目には合わずに済みました。でも、ほとんどずっと雨降りでした。

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京都の雨は少し土の香りがするけれど、東京の雨は何だか冴え冴えとするようで、あたりの景色の輪郭がくっきりする気がするの。みんな傘を目深に刺して早足で歩く。でも、あまのじゃくな私はついゆっくりになってしまう。(だから肩や足元が濡れるのだけど。。)絵や道具が濡れないように気をつけながら移動するのは少し大変でした。

赤坂見附での打ち合わせが終わって外に出たら、雨粒が大きくなっていて、(あらら・・)と思いながら駅に足早に向かいました。そのとき、おばあさんが工事現場の方に道を聞いているけれど、なんだか困っている様子だったので気になって、

「大丈夫ですか?」

と声をかけました。近くに来るまで気がつかなかったけれど、おばあさんは海外の方のようでした。あなた、英語はしゃべれる?というので、ちょっとなら、と答えると、だいぶ濡れてしまった地図を示して、ここに帰りたいの、とおっしゃりました。

「ここの場所、わかりますか?」

と工事現場のおじさんに聞くと、ちらりと一瞥して、

「英語、分からないんでね」

と、向こうのビルを見ながら答えました。こまった。。私は、英語はちょっとわかっても、地図が全然わかりませんでした。(実は、このすぐ近くの学校に20年近く通っていたのですが、あまりに方向音痴で全くわからなかったのです)せめて地図の向きを理解しようと思って、

「すみません、どちらが北かわかりますか?」

と聞くと、

「分からないね」

と言います。工事現場の方は正直に言って、とっても親切ではありませんでした。傘もささないでお仕事中、不機嫌でギリギリなのにこれ以上構わないで、といった感じでした。でも雨は激しくなってきた上に人通りが減って、この方を逃したら道を知る人を探すのは大変そうでした。傍でおばあさんが不安そうな顔なので、きっと大丈夫だからちょっと待っててねと伝えて、さらにおじさんに質問しました。

「この通りは何通りですか?」

青山通りだよ。知らないで歩いてるの?」

おじさんは驚いた顔でこちらを見ました。

「そうなの。それで、こっちの通りは?」

「〇〇通り(忘れてしまいました)」

「ありがとう!」

じゃあこっちだ、ともうびしょ濡れになってしまった地図を片手におばあさんと向かいます。おばあさんはとても不安そうでした。たぶん大丈夫よ、と伝えるとおばあさんは突然、ありがとうと言って、「私、一人ぼっちでとっても辛かったの」と泣き出しました。

私は咄嗟に、さっきの工事現場のおじさんや、他の日本の人が冷たかったのかなと思ってとても申し訳なく思いました。ところがおばあさんの話を聞くと、なんと彼女はカナダから息子と息子の奥さまと旅行に来たのだけどパスポートを落としてしまって、航空券もお財布も無くしてしまって、再発行に5日間かかるあいだ、一人ぼっちでとても寂しい思いをしたそうなのです。

「なんてかわいそうに!!大変でしたね。」

思わずぎゅっとすると、おばあさんはえんえん泣くのでとても心配になりました。ホテルはすぐにわかりました。次のお仕事の時間が迫っていたからどうしよう、と思ったけれど日本にあまりに悲しい思い出ばかりが残ったら辛すぎると思って、「お茶でもいかが?」とお聞きしたけれど「どうもありがとう、でも大丈夫。」と笑顔を見せてくれました。それで、お名前を交換してハグをして別れました。

本当は「元気出してね」と言いたかったけれど、英語で何て言ったらいいのかわからなくて、「あなたが笑顔だと嬉しいな」ととても下手くそな英語で伝えました。帰って、英語がペラペラの母に尋ねたら幾つかフレーズを教えてくれたけれど、「きっと伝わったわよ」と言ってくれたので、ちょっとホッとしました。

 

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二日後、京都に着いたらまだ降っていました。そのままお仕事を終えて夜、雨は激しくなっていました。連日ぎゅうぎゅうの予定で大荷物だったのでこまったな。。と思っていたら友人が車で拾って帰ってくれることになりました。待っているあいだ、京都の雨の香りを胸いっぱい吸い込みました。すぐに来てくれた友人に心からお礼を言い、車に乗り込みました。おばあさんカナダに帰れたかな。あのあとちゃんと楽しいことがあって、無事に帰れているといいな。。

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同時代ギャラリー

9月に入って、三条御幸町の同時代ギャラリーで個展をしました。東京の仲良しに紹介してもらって京都で初めて入ったカフェがCafe Bibliotic Hello!で、こちらでも何度か展示をさせていただきましたが、初めて入ったギャラリーは同時代ギャラリーだったので、いつかここで展示ができたらいいなと思っていました。私はタイプの違う仕事を3つくらい持っているのだけど、そこでの発表も毎年秋にたくさんあったりして、それが重なるの。他に依頼の絵もあったりして、夏場は準備が色々でちょっとたいへんでした。

 

クレヨンでの展示が珍しいらしく、またいろんな方と出会いがありました。同い年のお坊さんや、画家の方や、何かの職人さんや、外人さんや、ちょっとあやしいおじさんとかも。ギャラリーは駅のターミナルみたいで、それぞれの行き先を持った人がふと交差して話をしたり、わずかな邂逅を楽しんでまた自分の世界に帰っていくみたい。私も、この時は停留所をオープンしたような感じね。

毎日同じ時間に来て、お名前だけ芳名帳に書いてくださるけれどそのまま帰っちゃうおじいさんとか(スタンプラリーと間違えていないかしら。。)意気投合して連絡先を交換した観光中の台湾のお姉さんとか、置いておいたクレヨンに夢中で、自分のお絵描きをたくさん描いていったおちびさんとか、、ほかにもいろいろ!!

京都に来たころは何もなくて、さあこれからどうなるのかなあと霞みたいな中にいたけれど、いまは幸せなことに仲良しも知り合いも仕事も増えて、たくさんの方と顔なじみになりました。ときどき別のお仕事で付き合いがある方たちが同時に個展に来てくれて皆で話をしているところにいると混乱したりするけれど。。。

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搬出を終えてギャラリーの壁がまた白く戻って、また外に出た時には少し涼しい夜の風が吹いていました。春から忙しく走り回っていた私も、夏の最後にそこで数日過ごして、ちょっとすぅっとした気分になりました。

また、勝手に追い込まれて

いくつか台風が過ぎたら急に空気が秋に変わった。このあいだ田んぼが金色になったと思ったのにもう穫り入れられていた。日が落ちるのも随分早くなって、なんだか少しさみしい。そういえば、まだスイカを食べていないのに梨を食べてしまったし。これはいけない。

今年の夏はあっという間に月曜がきて、水曜がきて土曜がきて、9月になっていました。そのただ中にいながら「いつかこの夏を思い出して、懐かしく思うだろうな」と思いながら過ごす、そんな夏でした。

 

しばらく前からパソコンの調子がおかしかったのだけど、暑くなりだした頃から途中でパッと画面が暗くなることが増えた。それから、折角打った文章なんかが、突然閉じていってしまったり。。
ただでさえ苦手なのに、ああいやだ、いやだと思っていたらインターネットのプランの売りこみやら、よく分からない電話やらが重なってうんざりしていました。それで、いつものごとく、しばらく無いことにしていました。

「きみ、もうパソコン買ってきたら?」

主人が言ったのは、私がまた作業中に、ぷちんと切れて真っ暗になった画面を眺めているときのことでした。

「それ、もうすぐ写真や書類が全部消えちゃうよ。きみまた大騒ぎになるんじゃない?」

じー、と聞いていたけれど、嫌だなぁ、、と思っていました。

大体、電気やさんも苦手で、駅の近くのお店で何度か切れた電球を買ったり、カメラを買おうとしてみたことはあるけれど、入り口でしばらく迷って(やっぱり、なくても大丈夫かもしれない)と帰ってきたことが何度もある。

「わかっては、いるんだけど。。」

これで1日つぶれてしまう、と思うと悲しくてしょんぼりしていたら、主人がいくつか助言をして例によってうまく励ましてくれた。それでちょっと元気が出て、バスに乗ってご用事前にパソコンを買いに行くことになりました。

 

前のパソコンを買ったのはまだ東京にいた頃で、すでに7年も経っていました。京都でパソコンを買うのは初めて。でも、macを扱っているお店はそんなに多くないの。。バスに乗って、街中に出て、大通りを一つ入ったところの大きな電気屋さんに入りました。

「はい、何かお探しでしょうか」

「こんにちは、パソコンが欲しいのだけど、macの一番小さいのありますか?」

「こちらです」

(いい調子!)

目の前のコーナーでした。我が家にあるパソコンと同じものがあって、ホッとしました。店員のお兄さんが動作環境はとか色々聞いてくださり、青い線が付いています、なんだか小さな機械が3つあるのだけど触ったことはありません、ややこしい機能はいりません、とか情けない説明でもちゃんと分かって下さっているらしい方で嬉しくなりました。

これをお願いします、と言おうとした時、レジにどなたかが来られてピンポンが鳴りました。この階にはお兄さんしかいないようだったので、「ゆっくり見ていますから、行ってくださいね」というと店員さんは丁寧にお礼を言って走っていかれました。

このつぎにパソコンが壊れたら、またあのお兄さんのところに買いに行こう。でもその時までこのお店にいらっしゃるかしら。。そんなことを思いながら、無事お買い物が済みそうで余裕の私は、我が家に新しく来る予定のパソコンをちょっと片手で触ってみました。

(これが電源ね。これは、何かしら。)

最近のパソコンには扇風機をつけたり、何やら動くおもちゃがつけられたりすることを知っていたので、何の気なしにその線を引っ張ってみました。

その途端。

ビーー!!ビーー!!ビーー!!ビーー!!

と、とんでもない音が店内に響き渡りました。

「わあ!!」

まさか、私ではないだろうと思ったけれど、どう考えても私でした。

ビーー!!ビーー!!ビーー!!ビーー!!

店員さんに助けを求めようとすると、彼は一瞬で何が起こったか察知したようで、

「ちょっと待っていてくださいね!」

とお客様ごしに作業をしながら爽やかに笑顔で返してくれました。

ビーー!!ビーー!!ビーー!!ビーー!!

(もう、だめだ。。。)

知らん顔して遠ざかるわけにもいかず、近くでもじもじしているけれど凄い音です。他のお客さんも、びっくりした様子でジロジロ見ていきます。

(あーあ。。)

と、会計を終えた店員さんが道具を持って、走ってきてくださいました。

「お待たせしました、失礼します」

ビーー!!ビーー!!ビ・・・

音が止み、また平和が訪れました。

「本当に、ごめんなさい。。。」

「いえいえ、大丈夫ですよー」

店員さんは極めて爽やかでした。(またやってしまった。。)と思いながら、そうかこれは防犯のスイッチだったのか。。と再確認しました。

それでたくさんお礼を言いながら、無事買い物を済ませました。

ちょっと急ぎ足でお店の外に出て、主人に報告しようと時計を見たら、なんと、入店してから15分しか経っていませんでした。(すごすぎる・・!!)満足するお買い物をして、迷惑をかけてしまったのに15分。1日かかると思ったのに15分!思わずニコニコしながらパソコンを抱えてご用事を済ませたのでした。

 

前のパソコンのデータが少し無くなってしまったり、なんだかパソコンの機嫌が悪い時は上手く移せなかったりするのだけど、ずーっと気になっていたことが片付いて嬉しいの。調子に乗って、少し視力が落ちてしまったのを理由にパソコンメガネも新しく作りました。(でも取りに行くのがまた面倒になってぐずぐずしたりしました。)

例によって今年の夏もいろんなことがあって忙しかった。それに絵の依頼もたくさん重なって、いっぱい描いた暑い夏でした。いつもいつも「あんまり予定を入れすぎないほうがいいよ」とか、「そろそろあれやったほうがいいよ」とか何回言おうと、いつの間にか山盛りの用事を詰め込んで積み上げて大騒ぎする私を、主人は哀れみの目で見ながら美味しいコーヒーを淹れてくれたりするのです。でも実はまだ積み上がっているの。涼しくなったのに、まだまだある。困ったな。。

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お囃子につられて

ようやく親知らずを抜いた頬の腫れがひきはじめました。仕事を終えてお囃子の聞こえてきた方向へ、ちょっとだけのぞきに行こうとした瞬間、大きなカメラを持ったおじいさまに話しかけられました。

祇園祭は、どこでやっていますか」

これはよくある質問です。背が低いからか、ぼんやり空や風景を見ていることが多いからか、道を尋ねられることが多のですがいつものことだから自信たっぷりに、

「この道をまっすぐ行くと、四条通りにでます。それから右の方に歩いて行ったら、きっと分かります。あるいは、先に右にいって、それから左にいっても楽しいです」

と答えました。

「そうですか。いや、どうも。初めて来たんでね。わかるかな。」

立ち去ろうとするおじいさまに、

「大丈夫。わくわく歩いてたらきっとすぐ分かりますよ」

と言った途端、おじいさんが無表情で、

「わくわく、ですか。」

と言いました。

「はあ」

「わくわく、歩くなんてむずかしいですね」

何だか難しい顔をしている。ちょっと余計なことを言ってしまったかしら。と思ったら、

「まあ、わくわくしてみましょう。こちらでしたね。ありがとう」

少しだけ、にやりと笑ってすたすた歩いて行ってしまった。

 

7月になると、各地で笛やお囃子が鳴り始めます。どの鉾がお気に入り?とよく尋ねられるのだけど、残念ながらまだ答えられるほどよく分かっていないの。でも、あの四条通り界隈の熱気は凄い。あちこちの赤いちょうちんも、何だかいつもより艶やかに浴衣の人たちを照らしています。観光客の人たちも本当に多いけれど、地元の人たちが何かイキイキと楽しそうな気がする。これはやっぱり京都の祭りなんだな、と感じる。

祇園祭りのときには男の人に目がいく。男の人たちが鉾を立て、昔からのやり方で祭りをこなす。その傍らで、いつもは主役の女性たちが、浴衣を着て花のようになっているのはとてもきれい。

あちこちに華やかな気配。いつもの町が装いを替えて、ちょっと知らないところみたいでした。

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これは数日前、鉾が立とうとしているところ。通りすがりに、ぱしゃり。

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たくさんの人で、同じところには行けなかったけれど、帰り道に下からのぞいた鉾は天を刺すようで迫力がありました。(もしかしたらおじいさんとすれ違うかな、と思ったけれど会いませんでした。いや、すごい人だったから気付かなかっただけかな。。)

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よゆうがあったら、いくつか鉾や山をみて今年は手ぬぐいを買ってみたいなと思っていたのだけれど、人ごみが苦手な私には到底無理で、たまたま通りかかって空いていたどこかの売り場で、ちまきと素麺と、ハッピを着たおじさまに薦められるがまま絵はがきを買いました。1枚だけかな、と思っていたら同じ柄が10枚も入っていて、300円だったからちょっとびっくり。誰かにお手紙しようかな。このお祭りの雅な熱気が伝わるといいな。

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二千年前のお薬

しばらく前から思い出してはうんざりしていました。主人と友人と期日前選挙に行ったときも、歯医者さんの前を通っては悲しくなり、中々噛みきれないお肉にズキンと奥が痛んではじっと頬を押さえたりしていたの。

私は暗示にかかりやすく痛みに弱い。きっと一週間くらい腫れるから、予定を調整して下さいね(!!)と歯医者さんに言われて、数ヶ月前からしぶしぶ決めていたのに、いざその日になると泣きたくなるくらい嫌で、とっても悲しくなり、しょんぼりしていました。

手術のときには、顔が真っ青で、汗がたらたらとなっていた私も、歯医者さんがとっても上手であまり痛くなかったし、ちょっと貧血になったけれどなんとか無事に終わりました。あとは、「麻酔が切れたらとても痛いと思いますが、ちゃんとお薬を飲んで下さいね」と送り出していただき、頑張って家に帰ってきたのでした。

(痛いんだろうなあ。。きっと、前のび太くんになったみたいに、腫れてズクズクするんだろうなあ。熱も出るかしら。。)

と思っていました。

 

ところが!!

この歯の手術に備えて、鍼の先生に紹介頂いて、漢方薬やさんで薬をふたつ調合して頂いたのですが、これを飲んでいるからか、あんまり痛くないの。絵本の中の、こぶ取り爺さんのようなほっぺたにはなっているものの、頭痛もしないし、食欲もばっちりあるくらい元気!(ただし抜いた側では噛めない)

じゃじゃん。

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ひとつ(茶色い瓶のほう)は王不留行散(おおふるぎょうさん)といって、切り傷にきくお薬だそう。なんと、2千年前からあるお薬らしい。桑の木の根っこ、しかも南東方向のものだけを使うとか、100日間干すとか、材料を合わせて黒焼きにするとか。とんでもなく作るのが大変みたい。ふわふわしているのだけど、これをちょっと、スプーンにすくってお水と飲む。(とても苦くて美味しくない。けれど、とてもありがたいものな気がして大切にいただく)

それからこっちは、私の体質に合わせて作って下さったお薬。これはコトコト1時間以上、400ミリリットルのお水が120ミリリットルになるまで煎じるの。これを24時間以内に3回に分けて湯のみにいれて飲む。シナモンみたいな味と匂いがして、実はちょっと美味しい。

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粉の薬は飲めないし、お腹がすぐ痛くなってしまい苦手だけど、漢方薬はなんだか体質に合うようで好き。本当に素晴らしいなと思う。でも作るのも飲むのも手間がとてもかかるし、手に入る材料がどんどん無くなってしまっているらしい。中国の、ある地方でしか取れないような薬草が、土壌汚染で育たなくなってしまったり、「高く売れるから」という理由で根こそぎ採ってしまう人がいるらしい。そういうお話を聞くと、なんだか体中がむずむずして、とても悔しくなってしまう。

こうしてゆっくり漢方薬を煎じたり、静かに過ごして休んだり、こういうことが本当は大切なんだろうな。。

 

私がぶつぶつこういうことを言ったり、機嫌良く漢方薬を煎じて飲んでいたら、主人が笑って美味しいもの(そして口が半分しか開けられない私に優しいもの)を作ってくれました。

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うふふ。こぶ取り爺さんもこれはこれでちょっと楽しんで、ゆっくり治そうかな。。

ふりかえってみれば

はてなブログさんから、「2年前に書いたこの記事をふりかえりませんか」というお手紙が届きました。「へえ!」と思って開いたら、とても懐かしい。自転車について書いた文章でした。

rumir.hatenablog.com

自転車に乗るのは2年経った今でも下手なままで、駐輪場の上の段に自転車をしまうのも出来そうにない。(このあいだ、おじさんが上の段から自転車を降ろすところを偶然見かけて、思わずじっと観察したけれど、難しそうだしチビな自分にはこれは無理だ、、と諦めた)先週も、歯医者の帰りに野菜を買って坂道をとよろよろ昇っていたら、歩いていたおじいさんに「しっかり、がんばれー」と笑われたし。

2年前のこの文章で、野菜をお母様の真似をして段ボールに積んで帰ろうとしたら、どうにも前のカゴに乗らなくて、困っていたら助けてくれた親切なヒゲのお兄さんのことを書きました。実はその話には続きがあります。

 

野菜を運んでくれながら、そのお兄さんは「木工職人の見習いをしています」とお話して下さいました。何かをつくる人が好きな私は、「私は絵を描いているの」とご挨拶して、ちょうど持っていた自分の絵の絵はがきをお渡しして、お礼をいってお別れしました。

ところが、個展をしたときに、そのお兄さんが来て下さったのです。最初、何だか私のことをご存知のようなのに、お名前を聞いてもどうしても思い当たらなくて「だれだろう・・」と思っていたら、

「自転車で野菜運べるようになりましたか?」

と笑っておっしゃったので、「ああ!」とすぐ、分かりました。ちょうどそのとき、母が来ていたので、「助けてくれたお兄さんなの」と紹介しました。「まあ、何だかよく分かりませんが、お世話になりましてありがとうございました」と母も言いながら笑っていました。

 

その後も展示の度に颯爽と自転車で来て下さるお兄さんは、やっぱりとても感じのいい方で、ご家族もとっても素敵な方たちでした。最初はよく分からなかったけれど、釘を使わずに木のお道具を作っているとお聞きして、いいことを閃きました。

「こんなのできますか・・?」

とお願いして作ってもらったのが、これです。

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分かるかしら。私だけの画板です。高さも3段階調節が出来て、しかも折り畳むと小さくなる。小さな絵を描くときは、これを机の上に広げて作業をしたりしてるの。素敵でしょ!!

 

気にしていないと日々の出来事は、どこかに溶けて無くなったようにもう見えないけれど、本当は小さな点がたくさん足されてカラフルな絵ができていくときのようで、こうやって思い出すと何だかいいな。今でも自転車は下手くそで、くたびれた日には蝶々にも抜かされたりするのだけれど、気持ちいい季節になったし、ちょっと遠出でもしようかな。

バジルとイタリアンパセリ

お仕事が終わった帰り道、スーパーの前でおじさんが机の上に小さな鉢植えを並べていました。(もうじき閉まる時間なのに、残ってしまったのかな。。)そのつやつやした緑が可愛らしく揺れて、誰にも選ばれないでおじさんがまた箱に積むところを考えたら胸がきゅっとした。買って帰ろう、と思ったけれど値段はどこにも書いていない。おじさんが顔をあげた時に、

「これは、売りものですか?」

と、とっさに声が出ました。おじさんは(ダスティン・ホフマンによく似ていた)にっこり笑って、

「たくさん買うてくれたら、プレゼントするで」

と一言。その言い方があまりチャーミングなので、思わず笑ってしまいました。

「じゃあ、帰りに寄りますね」

「待ってるよー」

それで(予定になかったのだけど)、お野菜と油揚げとピーナッツ豆腐(美味しい)と鰆を買いました。レジにならんで初めて、今日はお店のイベントで、千円以上お買い物をするとそれが貰えるということを知りました。

それでレシートを手にしっかり持って、ダスティン・ホフマンに渡しに行きました。

「はい、まいど!お姉さん、バジルとイタリアンパセリ、どっちにしはる?」

「わあ、選べるの?」

「そやでー、両方あげたいけれど、一個ずつなんや。ごめんなぁ、選んでな」

関西弁って、なんだかゆらゆらして面白いな。ふつうのセリフのはずなんだけど、何だか可愛いな。

「うーん、迷っちゃうな。どっちが人気ですか?」

すると、もうお片づけをし始めていたもう一人のおじさんが突如参加してくれました。

「圧倒ーーーてきにバジルやな。7対3の割合で、みなバジル持って行くで。バジルバジルバジルバジルバジル、ちょっとパセリ、とまたこんな感じやな。」

ばじるばじるばじる、私はそんな早く言えない。。と思いながらも、おかしくてたまらなかった。

「じゃあ、イタリアンパセリ、いただきます。」

「はい、パセリ!」

お礼をいって、大切に受け取りました。嬉しいなぁ、早く植え替えたいな!!偶然、この道を通って良かったな。小さな葉っぱの緑が袋から透けて、にこにこしました。

 

電車を降りると、眩しい満月。

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綺麗な黄色が水面に光って、思わず自転車をとめました。それからパセリが傾いていないかカゴをのぞいて、ぱせりぱせりぱせり、とちゃんと言えるかつぶやいてみました。