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ruru on the roof

大好きな絵と絵本と、日々のこと・・

フジタの小さな職人たち

以前にどこかの美術展で「私の部屋〈目覚まし時計のある生物〉」を見て、それから「藤田嗣治 手仕事の家」(集英社新書、林洋子著)を読んで、ちょっと怖い絵を描く画家、と思っていたフジタの印象が大きく変わりました。東京での滞在中、見たかった展示の一つがこれ、Bunkamura ザ・ミュージアムの「レオナール・フジタ展」です。 

1920年代、各地からパリへ集まり、ボヘミアン的な生活をしていた芸術家たちの一人、フジタはエコール・ド・パリの画家として大変な人気だったそうです。フジタの絵の特徴は、特に人物に現れると思う。乳白色の陶器のような肌や、髪一本より細いような繊細な線、人形のような表情、どこか不気味で、は虫類のように肌がしっとり冷たいような気がするの。当時のフランスの画家たちはエチゾチックなことや見知らぬ国の美しいものにとても興味を示したというから、フジタのこの陰があるアジア人特有の色気にみんな、ぞくぞくしたんだろうなあ。。

でも私は「小さな職人たち」を見たくて今回、足を運びました。晩年、フジタは自分の手でアトリエを作り(これがとっても愛らしいの)、美しいタイルで飾りました。そのタイルたちが来るというの。これが見たかった。

 

これも、すごい展示の量でした。ポーラ美術館の収蔵品がほとんどなのだけど、なかなか箱根まで出掛ける機会がなくて、初めて本物を見ました。中盤まででも随分有名な作品が色々あるけれど、「小さな職人たち」のコーナーに差し掛かると、小さな職人が一生懸命働いているタイルがずらっと並びます。順々に大切に見て行って、ふと顔を上げると、まだまだある!!嬉しいような、いっぱいになりそうな、複雑な気持ちになったほどでした。

f:id:rumir:20130924122922j:plainLeonard Foujita  'Tailor'  1959  young workers tilef:id:rumir:20130924122637j:plainLeonard Foujita  'Joiner'  1959  young workers tilef:id:rumir:20130924124223j:plainLeonard Foujita  'Old Clothes Seller'  1958 young workers tilef:id:rumir:20130924124254j:plainLeonard Foujita  'Sweepers'  1959 young workers tilef:id:rumir:20130924123217j:plainLeonard Foujita  'Coalman'  1959  young workers tilef:id:rumir:20130924123417j:plainLeonard Foujita  'Billposter'  1959  young workers tilef:id:rumir:20130924124449j:plainLeonard Foujita  'Vagabond'  1959  young workers tilef:id:rumir:20130924123608j:plainLeonard Foujita  'Religious'  1959  young workers tilef:id:rumir:20130924123046j:plainLeonard Foujita  'Collector'  1959  young workers tile

 

今回飾られていたタイルは95枚。戦争を経て孤独になったフジタは晩年パリに戻りましたが、その時には当時の仲良し画家たちはほとんど亡くなっていたそうです。同時に、小さな「しがない」といわれた職業の人達も時代とともにいなくなっていたのです。フジタのこの「小さな職人たち」は、自分を愛してくれた懐かしいパリとそれを彩った職人たちを、小さな子どもに扮させて描いて、その壁一面に飾っていたものです。

15センチ角の小さなタイルは、どれも細かく細かく描きこまれています。もうどこにもない記憶の中の出来事と、その人びとを熱心に描くフジタの背中を思うと、とても切ない気持ちになりました。