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ruru on the roof

大好きな絵と絵本と、日々のこと・・

ロンサム・ジョージ

その他いろいろ

鍼灸の治療をしてもらったり、色んな話をしに主人と、友人と3人で3週間に一度、奈良へ向かいます。先生は主人の幼なじみで、古い伝統的なやり方の鍼のお医者さま。友人とも主人を通した昔なじみで、私も学生の頃から中断を経て、長いこと診て頂いています。

ひとり1時間半くらい、交代で治療を受ける。だいたい私が一番最初です。脈をみてもらい、話をしながら鍼やお灸をしてもらうと、あまり気持ち良くてうとうとしてしまいます。畳のい草とお灸のにおい。沢山の本の気配、大きく開いた窓から見える裏山の緑、鳥の声。誰かがいるけれど静かで温かい気配や、植物がゆっくり呼吸をする音が聞こえそうな気がするの。

15分くらい置き針をして、先生は隣の部屋の主人たちのところへ行く。そのあいだ、うつぶせでじっとしています。ふすま越しに柔らかく聞こえてくる3人のお兄さんたちの声。20年に一度の神さまの引越しの話、たくさん使われる檜の木や宮大工さんの技の継承。古事記から始まるような、昔からの土地の神さまのお話。夢うつつで耳にところどころ届きました。

プールのあと大分してから、耳に溜まっていた水がじゅわっと温かく出て来たときのような、けだるくて幸福な午後を思い出した。静かにふすまがあいて、治療の続きが始まります。

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ロンサム・ジョージ。主人のまわりには、主人と先生ともう一人、彼を彷彿とさせる人びとがいます。絶滅危惧種のかおり。

ジョージはガラパゴスゾウガメの一種のカメさん。でも人間が生態系をこわして、同じ種類の仲間は次々に消えてゆきました。最後の仲間がいなくなってから、40年以上ひとりぼっちだったジョージは、100歳以上生きて、昨年亡くなりました。彼のニュースを聞いたとき、会ったこともない彼の後ろ姿を想像して、ちょっとお祈りしたくなった人が私以外にもいたに違いないと思っている。

もし自分が最後のいっぴきだったら。

どうしても別の種類の方とお話ししても通じなくて、あるいは言葉は通じても奥のところでどうしても繋がらなかったら。。

それはとても悲しい。でも、まっすぐ自分の中の何かに従って進もうとしたらやりにくいことが、世の中にはあるし、それが嫌いな人が確かにいるのだと思う。いまここにロンサムジョージがいたら。それを私が通訳できたらいいのに。。そう思いながら、帰って横でちょっと眠っている主人の鼻のあたまをそっと、撫でてみました。