ruru on the roof

大好きな絵と絵本と、日々のこと・・

二重奏

数年前のこんな静かな秋の日、立ち寄った古本屋さんで見つけた絵本。その場でしゃがんで、すっかり読み終えてしまいました。

その絵本は、子どもが開くのにちょうどいいサイズで、秋の気配に満ち満ちている。とりたてて特別なストーリーというわけではないのに、不思議に手から離れない。きっとこの絵を見たらみんなそっと秋の気配に包まれると思うから、今日はこの絵本を紹介します。

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「うさぎさん てつだってほしいの」

シャーロット・ゾロトワ 作

モーリス・センダック 絵  こだま ともこ 訳

富山房(1974/11)

 

「うさぎさん、てつだってほしいの」女の子がうさぎに語りかけて物語は始まります。お母さんの誕生日プレゼント、なにがいいかしら。。あかいもの、きいろいもの、それから、それから・・・「ほかには、なにがすきなんだい?」うさぎと女の子は森の中を歌うようにお話しながら探しに行きます。

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モーリス・センダックとゾロトワの絵本だ、ということに気付いたのは随分経ってからでした。顔をよく見たらセンダックの子どもの顔だし、文章も小さい女の子のお話がとても上手なゾロトワのお話そのものです。(私の本棚にはゾロトワのものがたいへん多いのですが、それはまたいつかに!)そしてこの二人が組んだらそれは魅力的でないはずがない。

うさぎさんはたいへん紳士で、一日一緒に女の子と彼女のお母さんのプレゼントを一緒に探してくれる。うさぎと女の子は友人ではない。知り合いというよりももっともっと近い。親子でも兄妹でもない、たとえばおじと姪くらいの距離な気がする。

「ほかには なにが すきなんだい?」

「おかあさん あおが すきだわ。」

「あお?あおなんて あげられないさ。」

「それじゃ、なにか あおいもの だったら?」

「みずうみが あおいよ。」

「でも、みずうみは あげられないわ。そうでしょ?」

「おほしさまも あおい。」

親しい人と、言葉遊びをするようにお喋りをしていると、その空間がゆっくり熱を帯びてくる。同じ言葉を持っている人同士の、密かな楽しみ。誰かと読み合わせをしても、楽しいかもしれない。

物語を読んだら、うさぎさんが、愛らしい小うさぎではなくて、手足の長いクールなうさぎであることが納得いきます。ある書評で、「ダンディー!」と書かれていて笑ってしまった。主人は「・・ちょっと怖いよ」と言っていた。私は、こういううさぎなのだからそういうものだと思い込んで見ていたので、面白いところに目がいくんだなぁ!!とびっくりしました。

今日久しぶりに読み直して、絵と文章とがヴァイオリンとピアノの二重奏のように合わさっていて、いい絵本だな・・とあらためて思いました。

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