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ruru on the roof

大好きな絵と絵本と、日々のこと・・

見とれた。。

お出かけ

美しい陶器のような芸妓さんと舞妓さんがふたり、目の前に並んでいた。白塗りのお顔と、金や銀の絢爛な刺繍の着物、帯留めは美術館に飾られていそうなものでした。絵はがきでも通りすがりでもなく、初めてこんなに間近で本物を見たので、息も詰まりそうで、ただ見とれていました。その芸妓さんが音もなくお茶を点てて、舞妓さんが運んできてなんと!私の前でとまったとき、あまりに現実味がなくて、時間がとまったようでした。

 

旧くからの知人は京都の人で、移住してから時々会います。彼女のおば様が芸妓さんと知り、うっとり話を聞いていたら、

「そんなに好きなら、祇園をどり、見に行く?」

と誘ってくれた。

「行く、行く!」

待ちきれずに早速予定を調整して、今日がそのお楽しみの日でした。

 

四条大橋で待ち合わせして、会場へ向かいます。私は花見小路の突き当たり、建仁寺手前の歌舞練場だと思いこんでいたのですが、それは祇園甲部の春の都おどりの会場で、今日の祇園東の舞台は八坂神社前の向かいの祇園会館でした。

会場の外は外人さんや、年配の方でいっぱいです。赤いちょうちんがたくさん、艶めいてぼぅっと光っていました。時間になって扉がようやく開き、流行る気持ちを押さえて中に入ります。チケットを受け取って奥へ進みました。私たちはお茶券もお願いしていたので、舞妓さんを見ながらお茶が飲めるというお部屋の行列に加わりました。入れ替え制のようになっていて、前の方々が出られて私たちの番になりました。

「せっかくだから、前に座ろうよ」

と彼女がどんどん進んで、舞妓さん芸妓さんの前に座りました。私もあとに続いて隣に並びます。ところが周りを見渡すと、他の方々は着物の女性がお茶とお菓子を配っていらして、直接(しかも素晴らしいお茶碗で!)受け取ったのは、その部屋の中で私と友人だけだったのです!!とてもとても驚いたし、夢心地でした。

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彼女もお茶を直接頂けることは知らなかったそうで、運がいいね、こんなこともあるのねと,興奮気味に座席に向かいました。

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少しして笛の音が聞こえると、水の澱が沈むように観客の空気が変わって行きました。いつのまにか座席は満員になっています。舞台が暗転して、静寂がすーっと広がりました。もう一度笛の音が鳴り、襖の奥に誰かがいるような気配になった。パッと明るくなったら、美しい3人の芸妓さんがこれ以上は無いような立ち位置で並んでいました。

毎年演技のテーマが変わるそうですが、今年は「八坂神社」。正月からはじまり、節分、祇園祭・・そしておけら詣り(大晦日)まで、10分ほどの舞台が幕が降りる事なく続きます。

どれも本当に綺麗だったけれど、第三景の祇園祭の舞で、お茶屋のおかあさんがお座敷から祭りのお囃子を聞きながら一人淋しく逢いたい人を思う舞が一番印象的でした。とてもせつなくて、地方の歌の歌詞はところどころしか聞き取れないのに、そこにいる皆が同じ空気を共有しているようでした。後で、一番年長の方らしいと知りました。きっとずっとずっと練習を続けていらっしゃるんでしょう。本当にすごいな。。

舞台は全部で1時間ちょっとくらいでした。お着物を着ていかないとだめかな、とか、こんな訳がわからなくて行っていいのかしら、とか、ずっと憧れていたけれど今まで行くチャンスがなかったの。でも、なにも問題ありませんでした。和服美人は沢山いたけれど、フランクな外人さんたちも同じくらいいた。第五景の八坂神社の三角関係のお話なんてまるでコメディで、隣に座っていたおじさまも大喜びで笑っていらっしゃいました。きっと、昔の人も同じ演目をこうして楽しんだんだろうな。そう思うと一層、芸妓さんの舞が輝いて見えました。

 

うちに帰ってひととおり、主人にいかに美しかったかを1から10までお話しました。それからまだ興奮していたので、一緒にパソコンを開いて色んな写真や情報を見た。私は何故か学生の頃からたいへん花街の美しさに惹かれて、たくさん写真集やら本やら持っているのですが、まさか本当に京都に住んで、舞妓さんからお茶を頂ける日が来るなんて考えもしなかった。

「また、行きたい」

「うん」

「行ってもいい?」

「うん」

ああ良かった、と思いました。もしだめ、と言われても行くつもりだったから。。そして、お土産で買った「舞妓はんのお気にいりしょうが湯」を主人と一緒に飲みました。

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(舞妓さん芸妓さんの画像は、祇園東歌舞会サイトより転載させて頂きました)