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ruru on the roof

大好きな絵と絵本と、日々のこと・・

クリスマスのはなし

ちょっと機嫌が悪かった。今年中にやらなくてはいけない事がいくつも残っているし、なのにやりたいことも沢山ある。更にきのうの仕事の反省点を思い返していたら、いくつも浮かんできて、いらいらした。主人にいいつける。

「あれは、もっとこうしたらいいと思うの。」

「うん」

「それとも、こうかな。どのみち、それじゃいけないの」

「うん」

言いながらますます、むにゃむにゃしてきた。しかも、寒い。コーヒーを淹れようかな、と思うけれど飲みたくない気もする。時計を見ると、1時を回っている。そうだ、お昼を食べていない。そう思っていたら、主人が言った。

「ごはん、食べる?」

「うん」

お鍋に火がついて、ポコポコ柔らかい音が聞こえる。でも私はまだ、かっかしていた。怒るための言葉を頭のなかで組みたてて、口をとんがらしていた。

「まぁ、いいじゃない」

主人の言葉に振り返る。

「今日は、クリスマスイブだよ」

思わず座り直した。

「どういうこと?」

「色んなことがあるけれど、クリスマスくらいは、他人もなにも許して穏やかにいたほうがいいと思うよ。」

「・・・」

なるほど、と思った。

「いらいらしては、いけない?」

主人がにこにこした。

「・・・いらいら、しちゃった。」

さっきまで、いらいらむにゃむにゃしていたのが急に恥ずかしくなった。

「無かったことに、してくれる?」

「うん」

神さまも、無かったことにしてくれるかしら、と小声でつぶやいたら、クリスマスだからね、と主人が言った。それで少し安心して、お昼の支度を手伝った。心の奥がしんと静かになっていた。いつものお昼ごはんはとびきり、美味しかった。

 

夜、主人がささやかなケーキを買って帰ってきてくれた。わあい、と喜んで夕ご飯の準備をはじめたら、何やら部屋でごそごそしている。

「なに、してるの?」

後ろからのぞいたら、

「クリスマスだから、並べてた」

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主人の部屋をのぞくと、テーブルの上にお馴染みの小さいものたちが並んでいた。隣の本棚にもかかっている。

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主人は結婚する前、弟さんとふたり暮らしをしていた頃からずっと、クリスマスの飾りつけをこうしてささやかにしていたらしい。ケーキの上に乗っていたお人形や、何かのおまけとか。そういったものを綺麗に洗って、並べている。それは長い間にたまった大事なコレクションみたい。。そういえば初めての冬に、ある日起きたらサンタさんの絵のケーキの周りのぴらぴらした飾りが冷蔵庫に貼ってあった。私は冗談だと思って捨ててしまったことがある。

「クリスマスの、ぼくの飾りのひとつだったのに」

と落ち込んだ主人を見てびっくりしたのを覚えている。それからは缶(これもサンタさんが描いてある)にこの小さなおもちゃ達を入れて、これからは自分のお部屋に飾ってね、とお願いしていた。

「どうして、今日飾り付けするの?」

ふと思い付いて、聞いた。だって私はもう、片付ける用の箱を今日出してきたところだったから。

「そういうものと思ってたんだ」

クリスマスイブに出して、クリスマスに片付ける。そう小さな声で言う主人を見ていたらおかしくて、可愛らしくて、とても楽しい気持ちになってきた。

「あとで、ケーキを食べようね」

主人のクリスマスとその飾りを、今年初めて可愛いな、と思ったので写真を撮らせてもらいました。明かりを消したら、小さくそれらが揺れた気がしました。