ruru on the roof

大好きな絵と絵本と、日々のこと・・

キルトのカーテン

ガシャ、ガンガンガン、ドーン!!

大きな音で目が覚めた。不穏な気配。厚手のくつしたを急いではいて、窓の外をのぞく。作業の服をきてヘルメットをかぶったお兄さんが沢山、集まっている。空き地にはトラックが荷物を載せている。

(たいへんだ)その場で思わず足踏みをしてしまった。

「ねぇ、たいへん」

寝ている主人に声をかける。

「たいへん。お家が建ってしまう」

寝息が聞こえる。まだ朝早い。枕元に本があるし、いつも通り、明け方まで読んでいて眠ったばかりに違いない。(どうしよう、どうしよう。)私は寝ぐせのまま、パソコンを繋いだ。それからお家探しのページを開いた。もうここは、安住の地じゃないかもしれない!そう思うと、早く次のすみかを見つけなくてはいけない。

ドン、ガシャーン!!外では聞き慣れない騒音が続いている。もう一度そーっと外をのぞいたら、作業員の方と目が合ってしまった。ぺこり、とおじぎをして、失礼にならないようにゆっくりゆっくり、カーテンをしめる。それでも外からはよく見えるので、上からキルトをかけることにしました。

 

お部屋が暗い。お家情報はいろいろで、これはお得!とか、私が億万長者だったら3つくらいお家を持って綺麗にしたいなとか、そうしたら離れたところにいるお友達や、京都が大好きな東京の家族がいつでも来れるのにとか考えたりして、それはそれでちょっと楽しかったりする。でもそのあいだも物音や話し声が続いていて、それが気になりだしたら、何を見ているのかよくわからなくなってきた。また眉間にぎゅ、と力がはいってきたころ、主人が起きる気配がした。

近くまでいって布団をそっとめくってみると、笑っていた。

「おはよ、何で笑っているの?」

「おはよう。だって、きみがまたおかしな気配なんだもの。」

「そうかな、あのね、たいへんなの」

どんなに大変なことが始まったか説明しようとしたら、

「外の工事が始まったから、それでまた勝手にいらいらしたんでしょ」

お見通しだった。

「わかってたことじゃない」

「うん・・」

もともとこのお家の裏には、大きな畑が広がっていた。目に染みるくらいの緑が山の麓に広がって、それはそれはのどかな風景だった。それが気に入って、東京から京都に引っ越す時にこのお家を選んだ。ところが住み出して半年で、その畑が無くなった。なんと分譲地になり、家がたくさん建つという。先に言ってくれればいいのに。。今はまだ、うちの前はぽっかり空いているのだけれど、もう端から順に建っていっているの。。

そうこうしているうちに、足場がどんどん組まれて行った。ベランダ側にも人影がいるのをみて、これはおかしいぞ、と思った。それから、思い出した。年末にポストに手紙が入っていた。外壁工事のお知らせだった。紙を引っ張り出してみて見ると、足場を組んだり、洗ったり塗ったりで期間は2週間。今日からだった。そのあいだ、窓はあけてはいけません、カーテンも閉めきって下さいとか、洗濯物を中に干して下さい、とか、植木などは部屋に入れて下さい、と書いてある。家が建つのでなくて一瞬ほっとした。でもすぐに、うんざりした。

「たいへん。お花たちを中にいれなくちゃ・・」

一生懸命、お部屋に移動させた。大きなものは主人に手伝ってもらって、気が狂いそうになりながら並べ直した。私の部屋は新年早々、一瞬にして温室のようになった。

 

お部屋の中が予期せぬ形に変わって、しかも満員。お外はうるさい。窓の外にはすぐに大勢のひとたちがいるし、キルトまでぶら下がっている。うちのベランダに立っている人もいる!これから2週間、こうやって暮らすんだ。。仕方ないことと分かっているのに、私は悲しくてたまらない。でも主人は、

「分かってたことだし、どうってことないよ」

と言う。工事も、おうちが建つのも。いつもは私が気にならないことが多くて、主人が落ち込むことが多いのだけど、今回は逆だな、と絶望しながらも不思議に思った。でもふたりで落ち込んでも仕方ないし、そんなものかな、とちょっと思う。早くふつうの日々にならないかな・・・。

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