ruru on the roof

大好きな絵と絵本と、日々のこと・・

月夜の冒険

たくさん重ね着をしているし、ちっとも寒くない。重さも感じないくらいの柔らかな雪、こんな景色は京都にくるまで見たことが無かった。視線を近くにしたり遠くにしたりして楽しみながら駅に降りたら、ちょうど電車が着いたところだった。

夕方から読みはじめたロダーリの「青矢号」は、予想以上に面白くて、帰りの電車を降りるまでにとっても集中して読み終えてしまった。しばらく前に古本屋さんで見つけてから、ずっと本棚で眠っていた本だった。

イタリアでは、1月の公現祭の日にベファーナおばあさんが、魔女みたいに箒に乗ってプレゼントを配るという言いつたえがある。でも貧しい子どもはプレゼントをもらえないそう。そんな子どもの一人、フランチェスコを知ったベファーナの玩具屋さんに住んでいるおもちゃ達が、電気列車の「青矢号」に乗り込み、お店を大脱走するおはなしです。おもちゃひとつひとつの物語があって、あまりに綺麗なお話だったから、ちょっと泣きそうになりました。

 

帰って、主人にこの本のはなしをしていたら、絵本が数冊あたまに浮かんだ。それで、青矢号を元にもどして、絵本を出して来ました。

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「つきよのぼうけん」

エドワード・アーディゾーニ 作、エインゲルダ・アーディゾーニ 絵 

なかがわ ちひろ 訳

徳間書店(2004/9)*イギリス版の初版は1973年

 

「ぬいぐるみのくまのダンディと、おにんぎょうのケイト、それにちびくまのテディは、くるひも、くるひも、くらいとだなのなかで ねていました。このいえの こどもたちが、おおきくなって、もうあそんでくれないからです。」

こんな悲しい始まりの絵本は、ヨーロッパ的なクールさに満ちていて、少しウェットな私にはそれだけで胸がぎゅっとなってしまうの。。そのうえ、彼らは捨てられてしまう!!

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でも3人はちからを合わせて脱出する。ダンディは、上着のボタンをきっちりとめながら言うのです。

「あたらしいおうちを、さがしにいこう」

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この絵が、大好き!!エドワード・アーティゾー二は「ムギと王さま」や「チム」シリーズの挿絵で有名ですが(これもまた、いつかご紹介したいと思っています)、この「つきよのぼうけん」の物語を書いたのは長男夫人だそうで、この物語の3人のお人形たちは彼女の子ども達の大切な友達だそうです。きっと、お部屋であんまり遊ばれないお人形を見ていて、浮かんだお話なのでしょう。このふたりは他にもとっても可愛い絵本を出していますが、訳者のなかがわちひろさんが、こんな素敵なコメントをあとがきで書いていらっしゃるのです。

「耳をすまし、腰をかがめてのぞきこまなければ、気づかずに過ぎてしまう小さな世界の悲しみや喜びを、そっとすくいとるよう」

 

青矢号に乗り込んで、フランチェスコや他の貧しいひとたちのところへ出会いに向かうおもちゃや人形たち。それから捨てられてしまったぬいぐるみとお人形が、月夜の晩に「ぼくたちのあたらしいおうちへ」出発するおはなし。どちらも、本来なら与えられた場所で一生を終えるものたちが、勇気とこころを持って冒険に出る。きっとみんな、小さいときに一緒に過ごしたおもちゃのことを思い出すに違いありません。

私も読みながら、むかしお部屋にいたテディベアたちの顔や手ざわりがつぎつぎ浮かびました。みんな、新しいおうちを探しに出発したのかしら。。「かしこいビル」のビルみたいに、追いかけてきてくれたらいいのにな。でも、もし今みんなが戻ってきたら、嬉しいけれどやっぱりこまる。。戸棚にしまったきりになるかもしれない。それはあまりに申し訳ないし、もう一度ぎゅ、としたくてたまらないし。。そんな都合のいいことを思い浮かべても、それはあまりに無責任だし、、かといって、もしぼろぼろの、ほかのぬいぐるみが家に来たら、おいでと言ってあげられる自信があまりない。・・でも、その帰っていく後ろすがたを見たらどうしようもなくなってしまうかもしれない。。とてもふくざつな気持ちになりました。

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