読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ruru on the roof

大好きな絵と絵本と、日々のこと・・

ミニチュア主人

たとえていうなら室内犬のようなものだから、お外の生活に慣れていない。たくさんの友人に助けてもらって東京で初めて個展を開いて、そのあと個展のお手伝いをしてくれた大切な友人と箱根に出掛けて、ずっと行きたかったポーラ美術館に行った。そのあいだ、実は熱を出していた。東京は思ったより寒かったし、雪まで降った。私は3月は春に違いないと信じていたので、持っていったのは薄い服ばかりだった。結局母に、もこもこのお洋服を借りて、カイロをお腹と、背中と、それから靴の中にもちゃんと入れた。レッグウォーマーも2枚重ねて履いて、それだけ用心していたのにやっぱりやっぱり、熱が出てしまった。

主人が持たせてくれたE・Tの本はまったく読めなかったけれど、ずっと鞄に入っていた。展覧会の会期中ずーっとお喋りし通したら、それこそE・Tみたいな面白い声になった。毎日懐かしい人たちに会えて本当にきらきら素晴らしい時間だったけれど、京都でお仕事をしている主人に会いたくなってしまってこまった。だって、実に会うのは小学生ぶりとか、そういうお友達やそのお母様たちとお話していたら主人の話を聞いてくれるから、お話すればするほど、はたして私は本当に結婚していたのかしらと思うくらい現実感がなくなってしまった。

私にとって幼稚園からの友人たちと、小学校からの友人、短大の友人やその後知り合った人たちは全員違う物語の中の人のようなのに、それが一同に会したときにはまるで、浦島太郎とシンデレラと白雪姫の登場人物が飛び出てお話しているようだった。小中高短大の全ての美術の先生が来て下さった事も幸せなことでした。(実は密かに、ロイヤルストレートフラッシュだ、と思っていた。)

 

一週間ぶりに京都駅に着いて、携帯電話を開いたら着信が数件入っていた。全部京都の電話番号で、こういうことは良くあるのだけど、仕事を迎える気持ちの準備が出来た時にはすぐにそういう電話が来る。日常が始まるんだな、と遠くから手をひいてもらうような気持ちでした。まだ少し熱が残っていてクラクラするのを感じながらも暖かい京都の日射しが嬉しくて、とてもご機嫌になりました。

帰り、主人と友人に車で迎えに来てもらった。鍵を受け取って、ひとあし早くお部屋に入って、立ち尽くした。ここ、ここ!というかんじ。あんまり嬉しくて、すぐに全身パジャマに着替えた。それから主人が作っておいてくれたクラムチャウダーと美味しいいろいろを食べていたら、きゅっとしまっていた胃がゆっくりゆっくり広がっていくのが分かりました。そのあと飲んだカフェオレも、とってもとっても美味しかった。

 

どこでも旅をして、鞄ひとつでどこでも暮らせる人に憧れる。私も途中まではそんな人の気分でいたはずなのに、いつのまにかすっかり正反対の生き物として完成してしまった気がする。こういうことはきっと、習慣だと思うの。。実は今回の旅ではいつもお部屋で使っているキルトも送って、会場にちゃんと置いていた。もちろん時計や、文房具なんかも、いつもお部屋で使っているものを持っていった。それでもいつものパジャマを忘れて、ちょっと淋しい思いをしました。でも一番欲しいのは、ミニチュアの主人。ポケットにいれて、おしゃべりしたりしたいなと思う。いま隣にちゃんと本体がいるのに、そんなことを考えているのがおかしいけれど、ミニチュアの主人と一緒だったら安心で、どこにでも行ける気がする。でも主人がミニチュアだったら私もやっぱり小さくなって、同じサイズになって一緒に部屋を探検したい。布団で登山も出来るし、大きなケーキをスコップでガジガジ食べたりしてみたい。やっぱりとても楽しそうだと思うの。

f:id:rumir:20140307150300j:plain