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ruru on the roof

大好きな絵と絵本と、日々のこと・・

まだ来ない

ホームに上がると電車が来ていない。あれ?と思って電光掲示板を見上げる。なんにも書いてない。ちょっとしたら来るかな、そう思ってしばらく待っていたけれど、さっぱり来る気配がない。

ときどき乗る私の電車なのに、まだ来ない。これに乗らないとご用事が間に合わないんだけどな・・・一体、どうしたのかしら。駅員さんを探したのだけど、見渡す限り誰もいない。

そうだ。春になったから、もしかして時間が変わったのかもしれない。時刻表を探した。変わっていない。おかしいな。。黄色い線ぎりぎりに立って、線路を見たけれど、電車は来ない。こまった。

「あなた、電車を待ってるの?」

突然、背中から声がした。びっくりして振り返ると、濃いピンク色のお洋服を着たおばさまが立っていた。はい、と答えると、

「電車、こないえ。」

という。目を丸くして本当ですか、とかどうして、とか言おうとしたけれど言えないうちに、

「なにか、あったみたい。走ってないし、各駅停車で行くしかないみたいやで」

おばさんが言い終わる前に、駅員さんのアナウンスが流れた。乗る予定だった電車は、運転が取りやめになったらしい。

「ほらね」

「ご親切に、ありがとうございました」

ぺこり、と頭を下げて顔を上げると、おばさんはもうぐんぐん遠ざかっていた。その背中越しに、階段を上がってくる人たちが沢山見えた。だんだんホームが混んできて、事故を知らせるアナウンスはそのあと何度も流れた。しかたなく私は、先方に遅れますと 電話して、各駅停車の列に並んだ。外は晴れて、人はいっぱいいたけれど音がないような時間だった。なんだかプールのあとみたいに、いつの間にかぐっすり眠ってしまっていた。

 

用事が終わって、帰り道に大きな空き地を通った。土の匂いと、広い空。鳥のさえずりが楽器みたいに響いている。今日は風が強くて、目の前の風景は春なのにとても寒かった。ぽちぽちと、あちらこちらに咲いているタンポポを見つけた。無くしていた大事なブローチを見つけたような気持ちになって、思わずしゃがみこんだ。

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