ruru on the roof

大好きな絵と絵本と、日々のこと・・

いのちがね

日が落ちるのが大分遅くなったから、絵を描くのに夢中で気付かなかった。あと5分で出なくちゃ間に合わない。少し考えて、「駅まで自転車でとっても急げば」15分後に出ても間に合う、という結論に達した。それから指のさきまで緑や水色になっている手をちゃんと洗って、ぱたぱた着替えて出発しました。朝からの雨は上がって、少し涼しい風が樹々の高いところを揺らして、気持ちがよかった。行く時は下り坂だから、びゅんびゅんペダルをこいで、駐輪場に入れました。

 

(ぎりぎりだ。えーと、電車のカードまだ残ってたかな)

駅の時計を見ながら自転車の鍵をいれようとした、そのとき。

あることに気付いて、サーッと青ざめました。

(財布がない)

思わず目をきゅっとつむりました。きのう休みの日に野菜を買いにマルシェバッグに財布を入れて、そのままだ。もしかしたら冷蔵庫のなかに入ってるかもしれない。もう一度時計を見ました。取りにもどる時間は、ない。一瞬で色んなことが頭をよぎりました。

誰もいない、ほの暗い駐輪場の片隅でしゃがんでリュックを広げて、もしかしたら無意識のうちに財布を一番底にいれたかもしれない、と探りました。今日に限って、文庫本と仕事用具と、手帳とハンカチと鍵しか入っていない。なんにもない。。

黒いモレスキンの手帳に目がとまりました。そうだ!もしかして!!と、急いで手帳の最後のポケットを開きました。あった!!

 

「いのちがね、って言うんだよ」

幼稚園のときからバスや車に乗って母と通園していましたが、小学生になって一人でバスで通うようになったときに、父が私の小さな財布にいれてくれました。学校で決められていた持っていっていいお金は(なぜか)330円と決まっていたのだけど、もし!どうしても喉が渇いた、とか、迷子になって帰れない、とか大変なことがあったらこれで帰ってくるんだよと優しい父は言いきかせました。

それから学年があがっても、大人になっても、いつも財布のなかに「いのちがね」を1枚畳んで入れていましたが、あるとき(財布を落としたら帰れない)ということに気付いてからは、手帳の最後のポケットにもかくしていました。(毎年新しい手帳に換えるときにちゃんといれるの。)つい、いのちがねの分も計算にいれてレジでこまったこともあるけれど、今回はとっても助かりました。

 

だいたい、「8時に出よう」と思っていても、「本当のリミットは8時半」と知っていたらその時間にセットしてしまう。「今日のお買いものはこれだけ」と決めていても、「本当はあとちょっと、ある」と分かっているからつい、やってしまう。むかし修学旅行で、ひとりアンティーク屋さんに入って細工のこまかい鳥かごと、それから友人と入ったカフェで、桃の紅茶を飲んだらあんまり美味しくて、その茶葉を買った。そうしたら50円しか残らなくて、解散する駅に母に車で迎えにきてもらったこともあった。帰ったら母と、鳥かごを眺めながら一緒に桃の紅茶を飲もう、それくらいのことしか考えていなかった気がする。今でも、いつもどこかで「きっとなんとかなる」と思っているの。。

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千円札を一枚、きゅっと握ってきっぷ売り場へ走りました。少し遅れてしまったけれど無事お仕事をすませて、帰り道には交通カードを買ってしまったので(小銭がバラバラしたら嫌だ、と思って)自転車を取り出すお金がなく、それに気付いてちょっと絶望しました。仕方が無いので主人に電話をして窮状を訴えてから、星空をみながら歩いて帰りました。明日とりにいかなくっちゃ。。