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ruru on the roof

大好きな絵と絵本と、日々のこと・・

電車

お出かけ

(すっかり遅くなっちゃった。いそげ、いそげ・・。)

外にでたらすっかり暗い。もうすぐ8時になろうとしていた。あーあ、帰りに寄ろうと思ってたいつものスーパーがもうしまってしまう。でもお野菜も牛乳ももうないし・・と思って、いつもと違う駅のお店に入った。今日はたくさん本を買ってしまったのでとてもバッグが重たかった。それにお仕事帰りに、知り合いのお店に個展の案内を置かせてもらったり、ギャラリーに入ったら作家さんとオーナーさんとお喋りがはずんでしまって、楽しくはしゃいだ後だったので、何だかとてもくたびれていた。

右手に本(6冊もある。だって今日は素敵な古本屋さんを見つけてしまった。美大の近くだったので、ちょうど欲しかった画集や文庫、それに学生のときに読んだ教科書が売っていたりして懐かしく、厳選したけれど減らせなかったの)、肩にお仕事道具、左手には食料。(もし今つまずいたら大変!)そんなことを考えながら、今から帰るその果てしない道を思うと泣きそうになった。元気なときで、それから電車がすぐ来たなら家まで20分もかからない場所だけど、今の自分なら30分はかかるだろうな・・。よろよろ駅に着いて、時刻表を見た。もうすぐ、来る!ああ良かった、そう思って小銭を確認して、バスのように小さな叡山電車に乗り込みました。この電車に乗る時は、なんと切符はいらない。乗るときに入口の乗車券を受け取って、降りるときに車掌さんにお金と券を渡すの。毎回これがちょっと贅沢な気持ちで、うれしい。荷物を抱えて座ると、一瞬で眠ってしまった。

 

起きたら、誰もいなかった。

寝ぼけながら電気の案内板を見ると、知らない駅が書いてある。あれ・・さーっと血の気がひいて、一気に目が覚めた。まさかと思って、合図を出して出発しようとしている車掌さんに慌てて聞いてみると、

「あー、その駅は止まりませんね。八瀬比叡までいきましょうか」

「え!!」

「乗っていて下さいね」

ドラえもんのような優しそうなお兄さんだった。

迷惑をかけてはいけない、と思いながらも、これは大変な事になった、と真っ青になって席に座った。八瀬比叡、というところには行った事がなかった。どうしよう。。

誰もいないのが恐くて、車掌さんのいるお部屋に近い、一番前のほうに移動しようとして、足がカクッとした。見るとなんと、靴が壊れていた。久しぶりに出した夏の靴の、甲を押さえる部分がとれて、足首のベルトだけがぶらさがっていた。もう、どうしようもない。

 

外を見たら真っ暗で、とても静かだった。生温い空気が小さな車内を覆っていた。

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八瀬比叡は、思ったより近かった。それから折り返して、もう一度さっきの駅にもどった。泣きそうになっていたのが分かったからかもしれない。車掌さんは2回も、「4番ホームですよ。いいですか」と伝えて、降りるときに見せるようにと特別な切符をくれた。

「本当に、ありがとうございました」

電車を降りておじぎをすると、車掌さんは敬礼をしてくれた。電車が見えなくなるまで見送って誰もいないホームに立ちました。本と野菜が重たい。靴も壊れた。早くお家に帰りたかった。帰って主人にどこから話そう、まずは素敵な古本屋さんに行った事をお話しよう、それから・・と考えているうちに、遠くから電車の音が聞こえてきました。