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ruru on the roof

大好きな絵と絵本と、日々のこと・・

バス

個展の会期をちょうど半分過ぎてようやく、うちの裏から出ているバスに乗るとそのまま一本で、会場近くまで行けることを知った。それからは嬉しくなって、ここのところ3日ほど続けてバスに乗って会場まで通っている。

今朝は雨だった。地面の境目が跳ねる水で見えなくて、それもまた綺麗だなとうっとり歩いてふと気付いたら、足元はびしょ濡れになるし、バスの時間になってしまった。激しく降る中を乗り遅れないように必死で走った。

 

6歳から12歳まではバスで通学していた。運転手さんのすぐ後ろの少し高い席に乗っては、鞄から本を取り出したり、お絵描き帳に何やら描いたりしていた。その後引越ししてしまってからは、あまり乗る機会がないまま大人になった。だからバスのことといえば、どこか懐かしいかんじがする。

今でも仲良しの友人とは、子どものころは背格好も仕草も似ていて、一緒にいるとよく双子に間違えられた。7歳ころのこと、今くらいの季節だった。一番後ろの長い椅子の左隅。ふたりで乗るときは、私たちは必ずここに座った。(いま気付いたのだけど、運転手さんから一番遠い席だからかしら。。)

二人ともバス通学だったし、家が離れていたからお互いの家で遊ぶということは大きなイベントだった。それは多分日曜日で、随分前からの約束だった。その日は学校のある駅で待ち合わせをして、友人が私の家に来る日だったと思う。バスに乗って、きゃっきゃらひたすらお喋りをして、くすくす笑って、(毎日一緒にいるのに)近況を話したりしていた。

あれ?と思ったのは大分経ってからだと思う。

「次は終点です」

「!?」

車内のアナウンスを聞いて、ふたりとも、びっくりして顔を見合わせた。

「私たち、ここで乗ったよね!!」

「うん、乗った!」

「もしかして・・・!!」

そのもしかして、だった。私たちはお喋りに夢中になるあまりに、始発から終点へ、それからもう一回りしてまた始発の駅に戻ってきたのでした。運転手さんも、あんまり大騒ぎな子どもを放っておいたのか、または気が付かなかったのか、今となっては不思議な思い出のひとつだけど、自分たちのまぬけさがまたおかしくて、笑いころげた。7歳くらいの女の子がふたりでとにかく楽しくて、二時間ほども、ちっとも気がつかずに何をそんなに話すことがあったのかと思うと、ちょっとおかしい。

家で待っていた母は、話を聞いて驚いていた。朝から楽しみにしていた計画は大幅に変更になって、家に着いたときには夕方になろうとしていた。あのころは携帯電話もなくて、私たちは時計をもっていなかった。時間は体のそとを流れていて、日溜まりのなかで溶けて伸び縮みをしていた。バスに乗って出掛けるとき、ふとそんなことを思い出しながら、左隅の席に座るときがあるの。