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ruru on the roof

大好きな絵と絵本と、日々のこと・・

大きな金色の船

「あれ、なんだろう?」

御池の真ん中に大きな金色の船が見えた。周りにはずらりと人がいて、大きな船はその中でゆっくりゆっくり向きを変えているところだった。

「あれ、大船鉾だよ。ニュースで見た。150年ぶりなんだよね。」

「思ってたよりすごい迫力だね。綺麗だね」

河原町を下って、市役所前の交差点が遠くに見える信号で止まっている時に、偶然大船鉾が回転するところだった。前に車が無かったので、動いているのは鉾だけだった。交通止めになっている道を大きく回って、私たちは目的地へ向かっていた。主人と友人が祇園祭りについて話すのを聞きながら、私の目の奥では金色の鉾がゆらゆら揺れている。150年間眠っていて、修理してもらって、ようやく出てきたのね。人の波に揺られて、夏の太陽に輝いてピカピカ光っていて、何だか鯨のようだと思いました。

 

お仕事が終わって帰り道。外に出たら、顔にふっとガーゼを当てたときみたいに暑くて驚いた。少し歩いたらすぐ、手の平が汗ばむの。四条通りは、人が沢山だった。祇園祭について、仲良しのおばあさまが詳しく教えてくれていた。(去年は、蟷螂山が楽しいよ、と彼女が言っていたので見に行きました。どう面白いかというと、カマキリのからくり人形がおみくじをくれるの。ちゃんとちまきも買いました。)今年は個展と重なってしまって見られなかったけれど、浮き立つような祭りの空気、ずっとどこかで鳴っているお囃子や笛の音が町全体を覆っているのを感じていた。

 

まだ二度目の夏だけど、この祇園祭のひと月は何だか違うな、と思う。京都にいると町全体が女性の雰囲気で回っている気がするけれど、7月に入ると男性的になる気がするの。鉾をひくのも男性なら、お揃いの白い衣装で町を練り歩くのも男性ばかりで、町の色目が見慣れない様子に変わる。提灯が黄色く赤く夜を照らして、それに釣られて空を見上げると、そのまま浮き立つような気持ちになる。

そんなことを考えながら人の流れにそって歩いていたら、背中から波のような気配が近づいてきた。びっくりして振り返ると、みるみるそれは膨れて、道行く人が一斉に道に寄ってカメラを掲げた。さっきまではそれほどでも無かったのに、どこから来たのか人で溢れて、鉾が現れた。白い人たちが掛け声をかけながら、それを担いで進んで行く。

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交差点まできたら、大合唱が起きて鉾が揺れ、くるくる回転しはじめた。何と言っているのか耳をすますと、

「まわれ、まわれ」

と合図をしているらしい。向きを変えて進むのに少し時間がかかるあいだにも、四方八方から人が走ってくる。大きなカメラを胸に走る人たちを見ていたらちょっと恐くなって、急いでバス停に向かいました。

祇園祭が終わったらもう夏、とおばあさまも言っていた。バスを待つあいだ、東京の友人と電話をした。彼女の元気な声を聞いて「暑いね!!」とお喋りしていたら、それだけで何だかとても楽しい気持ちになった。それから大船鉾と後祭のお話をして、今年の夏休みの約束をしました。