ruru on the roof

大好きな絵と絵本と、日々のこと・・

歯医者と夕陽とプリンター

ご用事が続いて、東京にいったり帰ったり、お客さまが海外から次々見えてご案内したり、台風がきたりしていろいろだったのだけど、今日は電話がたくさんあって、それで予定が大幅に変わった。

喉がかわいていた。(よし、もう今日はおしまい。)携帯電話の上に布をかぶせて、密かに見えないようにしてお水を飲もうと部屋を出たら、リビングはオレンジ色に染まっていた。背中にたくさん汗をかいていた。これはとても暑いということにようやく気がついて、クーラーをいれた。時計をみて、動きがとまった。今日がほとんど終わろうとしていた。しかもあと少しで、歯医者さんの時間だった。少しつめたいくらいのシャワーをあわてて浴びて、麻のズボンをはき帽子をかぶって自転車に乗った。

 

青い草のにおいがいっぱいに広がる。遠く、空は三層に割れている。それが少しずつ重たくなって下がってくるのを眺めながらペダルをこいだ。早くいかなくちゃと思いながらも、あんまりきれいだから目を離せずにいた。角を曲がったら、西陽が閃光のように雲の奥から溢れていた。バス停から降りて家路に急ぐ人たちはみんな逆光で藍色にみえる。まるでシニャックの絵みたいだった。

珍しく時間前に着いたのに、急患の方がいたらしく私の名前はなかなか呼ばれなかった。歯医者さんにいくだけ、と思っていたのでバッグにはお財布とハンカチしか入っていなかったし、待合室にある本もあらかた読んでしまって、貼ってあるお知らせを端から眺めていった。それも終わってしまって、そのとなりの町内の地図を見ていた。すると、電気屋さんが近くにあることが分かった。

(そうだ!!終わったら行ってみよう!)

そう考えた瞬間に名前を呼ばれたので、私はニコニコしたまま治療室に入っていった。

 

ちょっと前から、ほしいものがあった。

それは、プリンター。持っていなかったの。お部屋にあわないし、それにインクを換えたり接続したり、そうしたことを考えるだけで億劫になった。私は家電をあまり信用していない。停電になったら使えないし、中に機械がつまっていると思うとそれだけでちょっと信用できない。自分ひとりでエアコンをつけたり消したりするのも少し緊張する。主人はそれをおかしがって、私に向かってテレビのリモコンのスイッチを押したりする。でも私は体の中を電波が通る気がして(そして通ったらいけない気がして)嫌なの。

でも、3年くらい前から(プリンターがあったらな)と思うようになった。特に最近は、お絵描きを印刷することが必要だったり、印刷ができないためにお友達にお願いしたりしてちょっと面倒だったの。それでここ数ヶ月、ときどき調べてみたりしたのだけど、やっぱり全然わからなかった。主人に相談しても、

「君が使うのだから、好きにしなよ」

という。確かに私しか使わないのだけれど。。でも、「これがいいよ」と選んでほしい。だいたい一人で電気屋さんに行くのは、とても勇気のいることなのだもの。

それでも美しい夕焼け(そのときには陽が大分沈んでたけれど)や、夜になっても元気な気配に背中をおされて、お店にはいった。

 

いらっしゃいませ!という元気な合唱、強すぎる蛍光灯に逃げたくなるけれど、入口にいたお兄さんが優しそうだったので、

「今晩は、プリンターがほしいのですが、どこにありますか?」

というと案内してくれた。

「いちばん小さくて、壊れなくて、インクがあまり無くならなくて、交換が簡単で、つなぐのが一番簡単なプリンターはどれですか?」

というと、ニコニコしながらきっとそれに相応しいものを持ってきてくれた。思っていた値段の半分だったので嬉しくて「それをください」と持って帰ることにしました。お店の人から離れずにレジに向かう道々には、両側にびっしり何かの道具がいっぱい並んでいる。(この人たちは、ここにある電化製品を全て理解して、迷わず使えるんだろうな)と思うと、お店の人をとっても尊敬したくなった。でも、たとえば本屋さんや画材やさんだったら、どんなにたくさんお道具が並んでいてもワクワクするし、ちゃんと自分に相応しいものを選べる。きっとそういうものなのね。

それから自転車のカゴにのせて、坂道をできるだけ揺れないようにしながら家まで運びました。帰ったら印刷するぞ!と思ったのだけど、さっき、用紙がないことに気がついた。プリンターの隣にあったのは分かっていたのに、こんなところに文房具があるわね、と思って買わなかった。。またゲージが快復したら買いにいこ。。

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