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ruru on the roof

大好きな絵と絵本と、日々のこと・・

気配 

鳥の声で目が覚めた。少しして、蝉の低い羽音が楽器みたいに鳴りはじめる。お水をコップに一杯飲んで、それからコーヒーを淹れに立ちあがる。コポコポと、ロボットが甘えて喉をならすような音がする。ロボットが甘えるのなら可愛いだろうな。。そういえばさっきまで見ていた夢は、どんなだったっけ。。 

 

駅までの道は、8月が終わろうとしている気配に満ちていました。田んぼの緑は大きく伸びて、その上で数羽の小鳥がはしゃいで追っかけっこをしていた。踏み切りがあがるのを待っている私の隣に、トンボがすうっと並びました。彼はまるで世間話をするようにピタリと空中に止まっていて、思わず手を伸ばそうとしたら、滑るようにまた飛んで行ってしまいました。

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電車で移動して、地上に出るたび思わず見上げてしまうほどの空の一日でした。

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途中に入った、本のたくさん置いてある静かなカフェで、カポーティの「おじいさんの思い出」を読んだ。この人の小説は何度か断念したことがあるけれど、「クリスマスの思い出」があんまりすてきだったから、目の端に並んだ同じ装丁のこの本を自然と手にとってしまった。やっぱり良かった。アメリカの少年の、乾いた視線や抑えた仕草が、色あせた映画みたいに目の前に広がった。

クーラーのきいたお店で温かいカフェオレを飲みながら、まるで自分自身にこんなことがあったみたいに感じて、よく分からなくなりました。朝に聞いた鳥の鳴き声を思い出そうとしたけれど、それはあんまり遠い気がしました。まだ繋いでいないプリンターのことや、もう一回電車に乗ることを考えたり、そうだ靴を修理に出そうと思ったりしたけれど淋しい気持ちになりました。夏の気配がだんだん透明になっていくような、静かな夕方でした。