ruru on the roof

大好きな絵と絵本と、日々のこと・・

トム・ソーヤ

起きたらお昼をまわっていた。両手をあげて寝ていたので、完全にしびれていた。ぷらぷらと振ってほぐしながら、今日やることについて考える。それからご飯を食べ、用事をテキパキとすませて、いい調子だった。(やっぱり良く寝ると、いいなあ。今日は、いい日だ)なんて思いながら、あとは歯医者さんに診て頂いて、それから眼医者さんにいって、コンタクトを買いにいくだけだった。(お肉と昨日の残りがあるから、帰りに野菜を買って・・・かんぺきね!)本と財布と携帯電話、ハンカチを持って赤い自転車に颯爽と乗りました。

歯医者さんは今日も混んでいて思ったより遅くなったけれど、今日は読みかけの本をちゃんと持っていたので大丈夫だった。それから山を降りたところにある眼医者さんでも初診だったのでたくさん時間がかかったけれど、綺麗なところだったしずっと本を読んでいた。

それは主人がずっと前にくれた「トムソーヤの冒険」で、あまりに有名だし少年くさくて、何となく読めずにいた。

「トムを知らないなんて!」

と驚く主人にもそもそ言い訳しながら、(いつか読もう)と思っていたの。夏だし、冒険が続いたから、しばらく前から読んでいた。思った以上に面白いし、トムもハックもイキイキとして夢中になるけれど、あんまりいたずらをするので困った。ドキドキする場面が終わって、ホッとした時に思わず息をついて本を置いたら、目の前にいたお姉さんに笑われてしまった。

 

視力は落ちていなかった。ちゃんと自分にピッタリのコンタクトレンズを受け取ってバッグに入れて、(さあ、帰ろう)と自転車に乗った。

ちょっとこいで、あれ、と思った。でっこんぼっこん、おしりが跳ねる。(ずいぶん鋪装されていない道なのね・・)と思いながら、こいでも、こいでも進まない。私の隣をスー、スーと人が追い抜いて行く。おかしい。

路肩にとめて、まさか・・と自転車の後ろのタイヤをさわってみた。何の抵抗もなく、指と指がタイヤのゴムごしにくっついた。

(うそだ・・)

恐くて、前のタイヤには触れなかった。頭が真っ白になって、主人に電話をした。でも繋がらない。日はいつのまにか暮れていた。困った・・と思いながら、喉がとても渇いていることに気がついて、お店に入った。牛乳と、お水とチョコレートを買って、自転車の空気をいれてくれるところを聞いてみたけれど、隣の駅まで行けばあるかもしれない、というお返事だった。親切な方たちで、お客さんや休憩中の方にまで色々聞いてくれたけれど、やっぱりここには無いみたいだった。隣の駅は逆のほうだったし、しかも行っても、もう閉まっているかもしれなかった。

 

ここから家までは、鹿のいる山を登らなくちゃ帰れない。

お水を飲み、チョコレートの銀紙をめくってかじりながら、 4つの選択肢を考えた。

①自転車をあきらめて電車で帰る。

②自転車をあきらめてバスで帰る。

③こわれた自転車に乗って帰る。

④こわれた自転車を押して帰る。

どれもいやだ、と心から思いうんざりしたけれど、一応こげるのだから進むところまで乗ってみよう、だめになったら引いていこう。それも無理になったらしかたない、捨てていこう。そう思ってペダルに足をかけました。

きい、きい、と不気味な音がします。しかも、とっても重たいし、すぐに傾くの。もし倒れたら、受け身をとるぞ、と考えながら自転車は船のようにゆっくりゆっくり進みました。

山に差しかかったとき、とても後悔しました。

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真っ暗だし、とてもこわい。

誰もいないのです。鈴虫のなく声、葉がゆれる音がざあっと時折響くだけ。闇が濃くて、人間ってなんて頼りないんだ、と思いました。トム・ソーヤだって、ハックがいなければ恐くってなにもできなかったし、山に住んでるハイジとペーターだって夜は出歩かない。自転車のライトはあまりに心もとなくって、しかもここで壊れたらどうしようもない、必死でひっぱりながら進みました。でたらめな歌を歌いながら、歌ってこういうときのためにあるのねなんて思いながら、できる限りの早足で山道をこえました。

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トンネルをこえて、いつもの道にきたときはホッとして、もう壊れてもいいやと思って自転車をぎゅうぎゅう、こぎました。丸いスイカと四角いスイカがあるでしょう、あの丸いスイカが前輪、四角いスイカが後輪みたいになってるわね、なんてことを思いながら、ガタガタ揺れて無事、家につきました。