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ruru on the roof

大好きな絵と絵本と、日々のこと・・

遠い雪の日

駅を降りたら、細かい雨が降っていた。傘はないけれど、霧吹きで少し高いところから蒔いたくらいの雨だったから、気にせず歩いた。手袋をはめているし、足元は温かいブーツだから大丈夫。静かな年明けから始まって、穏やかな1年にしようと決めていたのに、違った。思わぬお仕事がはいったり、初めて会う人もたくさん、移動距離もたくさん、やることもたくさんだった。

ようやく、一通りの波が過ぎた。久しぶりの一人のゆっくりした帰り道、ぎゅ、ぎゅ、と地面を踏みしめて歩いた。寒さで耳の奥がじんじんした。

ふと、目の前の雨粒が見えた気がした。

柔らかな雨だな、と思いながら歩いたら、雨は雪に変わっていった。

足をとめずにいると、だんだん白がはっきり見えてくる。

角を曲がったら比叡山が不思議な色に染まって、思わず見とれた。

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小学校のころ、学校の行事で3年生から6年生まで毎年一週間、雪の降る地域に出掛けた。あたり一面が白く分厚く覆われた風景は美しいのにどこか怖くて、皆なんとなく遠巻きに見ていた。夜、長いスキーを履いて班毎に移動した。どうしてなのか、どこに向かってたのかは覚えていないけれど、一列になって、前の人の歩いた雪のあとをただただ追いかけて進んだ。辛いわけでも嫌なわけでもないのに、皆無言だった。例によって私は後ろを歩いていた。多分スキーの足元の感触を感じていたか、雪を観察していたりしたんだと思う。一瞬、足をとめて、遥か遠くを見凝らした。空は黒くて、星の輝きは野性的だった。見えなくなる遠くまでが雪で覆われていて、あの向こうは何もないかもしれない、と思った。はっと気付いて、前の人と空いてしまった間隔をうめるのに、頑張って足を急いで動かした。大きな分厚い手袋や耳まで隠れた衣装は、月面着陸をした時の宇宙飛行士のようでいつまでも慣れなかった。

 

今、あのときから時間も距離も遠く離れて、私の住むところはそこまでたくさん雪が降ったりしないけれど、こんなに雪が降る日が続くと、時々あの時のことを思い出します。前に読んだ本のなかに、強く強く思い浮かべた風景は「本当に」どこかに存在するというお話があったけれど、それみたいに鮮やかに、目の前の風景と二重映しのようになって浮かぶの。

そんなことを考えながら帰って、ぼうっとしながら夜ごはんの準備をした。台所の窓が結露で濡れていたので窓を開けたら、雪はあがっていました。