ruru on the roof

大好きな絵と絵本と、日々のこと・・

やさしいライオンの子守唄

小さいときに読んでいた絵本の話を主人のお母様としていたら、

「うちにも一冊だけ、残ってるで。」

と言う。あとのは引越しで行方不明になってしまったけれど、一冊だけ残ってるそう。

「見たい!」

と言うと、奥の部屋から持ってきてくれた。主人の弟さんが大好きだったらしい絵本は、少し色あせて角が丸くなっていた。開くと、カサ、と柔らかい音をたてました。

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「やさしいライオン」

やなせたかし 作

ポニー・ジャックス 企画

フレーベル館(1970)

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ひとりぼっちになってしまったライオンのブルブルを、子供を亡くした犬のムクムクが育てるお話です。

「読んであげようか!」

とお母様が言うので、嬉しくて、うん!と言ったのに、お母様は「冗談よ」と照れて笑っていた。代わりに、ムクムクの子守唄を歌ってくれた。

「ブルブルーいいこねーねむりなさいーねむりなさいー」

こんな歌やったやろ、ほら、やっぱりそうや、この絵が可愛いんや、といいながら、少し皺がついたページを指でのばしていていました。

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私も、奈良美智の犬の絵に似ている、シンプルで可愛い絵にぎゅっと惹かれた。この、ムクムクがブルブルをおんぶしている絵を見て!!ブルブルのしっぽがくるくる巻き付いているのよ。二匹が背中に夕陽を浴びるこの場面を見ながら、きっとこうして色んな子供がそれぞれのお母さんに歌を歌ってもらったんだろうなあと思うと、自分もこの野原にいる気持ちになりました。

ムクムク母さんに育てられたブルブルは大きくなって、サーカスにいきます。それでも、小さいときに歌ってもらった子守唄は耳の底に流れ続けて、ある夜、脱走してしまいます。それで、とっても悲しいことになってしまうのだけど・・・。

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それでも、最後はちょっとじんわりするの。シンプルなヴァイオリンの旋律がお話をぎゅうっと引っ張るような、そんな優しいお話でした。

 

このお話を調べてみたら、1982年にもう一度絵が変わって、同じフレーベル館から出版しているようです。最初にラジオドラマとして発表されて、それを絵本にしたそう。近くの本屋さんには無くて中は見れなかったのだけど、表紙の絵の赤い夕陽が染みる様で、私はこの古いバージョンの方が好きだなと思いました。

「『やさしいライオン』がなければアンパンマンも絵本化されなかったと思う。『やなせさんの作品のなかでは、やさしいライオンがいちばんいいですね』といわれることが多い。今見ると絵が下手くそではずかしいが、技術的に未熟な欠点を超えて多くの人に愛されてきたことは作者としてはうれしい限りである。」と、作者のやなせさんのメッセージが載っていました。(やなせスタジオより引用)たくさんの絵本のリストの中で、一番最初に載っていたから、やなせさんの中でも大切な絵本なんだろうなあ。

むかし、お母様が歌った思い出と一緒に、絵本はまた大切にとじられて大事にしまわれていきました。