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ruru on the roof

大好きな絵と絵本と、日々のこと・・

一束の花だけを持って

その他いろいろ

バスが来るまで、あと10分あった。眩しかったから時刻表の陰に入って読みかけの本を広げる。風が少し強かった。

ふ、と人影がして顔を向けると、お花を抱えたおばあさんがいた。

「すみません。バスの時間を見てほしいんやけど」

「はい。いまは2時だから…」

「いいや、いまから墓参りにいって帰りのバスやし、1時間後くらいかね」

「それなら、3時12分のか、25分のはどうかしら」

「せやね、ありがとさん」

にこ、とした皺のあいだに影ができて、美しいなと思った。

「いいお天気で良かったですね」

と言うと、

「お墓の中ってどんなやろな。」

と言う。唐突で、どきっとした。

「うーん…」

おばあさんは、カッカッと笑った。歯がずらっと白くて、ピカッと光っていた。

「なんや最近考えてまうわ。さ、いってこよ。あんたも気いつけて」

「ありがとうございます、あの、お気をつけて」

おばあさんは少し足を引きずりながら、花束を下げて山の方に向かっていった。私はどこか白昼夢をみたような気持ちで、音のないバスに乗り込み、駅に運ばれていった。

 

春に引っ越すことになり、いまは片付けや整理で忙しい。京都に来てから絵を本格的に描きはじめたから、増えた道具や本がなかなかの量でびっくりしている。自分といういれものは変わらないのに、少しずつ質量が増えて違ういれものを求めた様な感じだな、と思いながら箱詰めをする。この家に来て4年半で、こんなにも荷物が増えたんだなと思う。年の離れた主人は、最近荷物の量が減ってきている気がする。この調子でいったらいずれは何も無くなるんじゃないかしら。いまだ増え続けている私も、いつかある時期を境に落ち着いて自分自身の荷物が整理されて減って行くのかなあ。。

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